発達性ディスカリキュリア(算数障害) Q&

            2020年12月24日公開

 

Q① 算数障害(発達性ディスカリキュリア)の評価に関してなのですが、どのような指標を使うのでしょうか?また、時間はどの程度かかるのでしょうか?

 

A① 回答者が医療機関で実施している評価について説明をしていきたいと思います。

 算数の困難が、学業成績やK-ABC2などの結果から、ある程度明確という前提でお話をしていきたいと思います。代表的な評価ツールとしては「特異的発達障害診断・治療のための実践ガイドライン―わかりやすい診断手順と支援の実際(稲垣ら,2010)」と「通常学級で役立つ 算数障害の理解と指導法(熊谷ら,2018)」があります。これらに記載されている課題を用いて評価を行います。ただし、算数の評価で気を付けていただきたいことがあります。米国精神医学会が発行しているDSM-5において「数感覚」「数的事実の記憶」「正確で流暢な計算」「正確な数学的推論」のどこに困難があるのかを特定することが求められているように、算数の困難には様々な要因が関連しています。それは、対象児が書いた回答を見たり、正答率を見たり、反応時間を測定したりするだけでは特定することは困難です。本人が課題を解いている様子を観察したり、実施後に本人にどのように解いたのかを確認したりするなどして、それらを特定していきます。
 評価にかかる時間については、学年によって実施する問題数も異なり、個人差も大きいですが、上述の2つを実施するとおおよそ40-60分程度かかる場合が多いです。

 

20201224

 

藤岡 徹 (福井大学教育学部)